谷崎潤一郎の春琴抄をミュージカル化した、宝塚の『殉情』を夜中にひとり鑑賞しました。
谷崎潤一郎といえば、私の中ではとても思い出深い作家さんです。
高校時代の国語の先生が『痴人の愛』を授業中に紹介してくださり、なんだかすごい話だなぁと高校生ながらに思いました。
私、この頃はあまり読書習慣がなく、強いて言えば、江國香織などを読んでいるくらいでした。
その先生の本の紹介の仕方がとても面白そうに聞こえたので、続きが気になって珍しく本を手に取った思い出があります。
そんな谷崎潤一郎と私の出会いでしたが、私はこの舞台で初めて、春琴抄のお話に触れました。
これもまた衝撃的な話でした。
原作は読んでいないので、原作とは異なる部分もあると思いますが、こんなお話です。
目の見えないお嬢様(春琴)とそのお嬢様に仕える丁稚奉公(佐助)。
このお嬢様、とっても性格がキツイのですが、佐助は献身的に支えます。
時には三味線のバチで叩かれて血を流しても、優しく許してしまうのです。
そんな二人の関係を見ていた春琴の父母が身分違いだけど、佐助と世帯を持たせたら良いのではと話しているうちに、春琴は身籠ります。
勿論、佐助の子供ですが、二人は自分達の子供とは認めません。
春琴は身分の低い人と自分が一緒になるなんてというプライドから、佐助は春琴が認めないのならそれに従います。
しかも、春琴は産まれた子供は要らないからと里子に出してしまいます。
すごくないですか?
裕福な家庭ですし、育てようと思えば育てられる環境、両親も結婚を認めてくれているのに、里子に出すんですよ。
春琴はプライドが高くキツイ性格ですから、敵が多いです。
ある時、寝こみを襲われ、顔に熱湯をかけられ、顔に傷を負います。
認めはしませんけど、佐助のことが好きなのでそんな顔を見られたくありません。
佐助に見られるのが辛い、見えなかったらいいのにと話し、佐助は自分の目を針で突き、失明するのです。
佐助はこれで春琴と同じ世界が見えると喜び、春琴はそんな佐助の気持ちを喜ぶのでした。
いやーすごい話ですよね。
二人の狂気。
佐助が自分の目を突くシーンなんか、もう悲鳴をあげてしまいそうなくらい、キツイものがありました。
しかし、物語に引き込まれました。
いやー谷崎ワールド凄すぎました。